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新型コロナウイルスについて、看護師達の目線で情報発信致します。

新型コロナウイルスについて、看護師達の目線で情報発信致します。

新型コロナウイルスは、全世界で広がっていて毎日ニュースで取り上げられています。
そもそもなぜパンデミックという広範囲に及ぶ伝染病になったのでしょうか?

スペイン風邪と新型コロナウイルス

その昔、スペイン風邪というものがありました。スペイン風邪は1918年から1920年にかけ全世界的に大流行しました。のちにH1N1亜型インフルエンザ流行であったことが科学的に初めて確認された症例です。この時も多くの死者が出ています。全世界では患者数6億人、2000万から4000万の人が亡くなりました。
日本においても患者数が2,300万人,死者38万ともいわれています。では、インフルエンザで毎年どの程度の報告がされているのでしょうか??インフルエンザは毎年1000万人以上の患者数になっていて直近で多かったのが2017年~2018年で約1400万人越えでした。ちなみに昨年(2019年~2020年)は過去5年で最も少ない結果となっています。

新型コロナウイルスの現在の状況(2021年5月末現在)

では、新型コロナウイルスの状況はどうでしょう
国内の状況は5月末現在で感染者数74.5万人、回復者数67.2万人、死亡者数12,926人となっています。そして全世界では、感染者数1.7億人、死亡数354万人。
感染者数の多い国は上から
アメリカ
インド
ブラジル
フランス
トルコ
日本は34位になっています。

よくスペイン風邪を例にとって新型コロナウイルスを説明していますが、数では比較対象にはなりません。本記事内にあえて黄色で強調していますが、『感染者数』と『患者数』は似て非なるものです。

医療従事者あるある

まず、医療従事者あるあるを申しますが・・・
今回の新型コロナウイルスの感染者数は少し今までとは違った使い方をされています。新型コロナウイルスの流行前にもPCR検査は既にあったのですが、このPCRで「陽性者」の中の無症状の方はこれまで「感染者」扱いとはしていませんでした。なぜなら、インフルエンザを例にしてみると、人の体の仕組みとしてはインフルエンザウイルスが体内に侵入し増殖して初めて「感染」が成立します。つまり・・・ウイルスを吸入したとしても必ず感染するわけではありませんよね。
インフルエンザは症状があるのでPCRをしてインフルエンザ陽性となっていたのに、この度の新型コロナウイルスは、無症状でもPCRを受けて陽性なら感染者数にカウントされて発表されています。残念ながらこの意図はわからないのですが、無症候者も感染源ということで注意喚起という目的があるのでしょうか・・・。

PCR検査や抗原検査について

では、PCR検査とか抗原検査などについても説明します。

検査 PCR検査 抗原検査 抗体検査
いつの感染か 現在感染しているか 過去の感染
検査の内容 粘液(鼻・唾液) 血液
結果 翌日 15~30分以内 15~30分以内
精度 高い PCRより劣る キットで個体差がある

PCR検査は基本的に院内では行いません。したがって結果は翌日になります。インターネット通販でも購入できますが、検体を宅配などで送った翌日に結果がでます。抗原検査はその場で結果がわかります。わたしたちはi-checkさんの抗原検査をやってみたのですがすごく簡単ですぐに結果が分かるので簡易検査としてはいいものだなと思いました。

今回のオリンピックでは、水際対策として自国で72時間以内に2回のPCR検査で陰性であることの証明、そして日本では抗原検査を行うようです。

であればもっとみなさんへ分かりやすい情報を目立つ場所で発信することが望まれますね。

新型コロナウイルスワクチン接種状況

国内のワクチンの接種については、
1回以上が人口の7.2%
接種完了は2.6%

提供元:Our World Data

ちなみに筆者の娘は昨年末にアメリカのオレゴン州に留学で行っていますが、すでにワクチンは接種完了しています。
学内の生徒たちはマスクをしている人とそうでない人がいるようです。学校外ではほぼみんながマスクフリーの生活をしているそうです。

コロナウイルスのワクチンについて

いろいろなワクチンにはそれぞれの特徴があります。

みなさんはワクチンに種類があるのをしっていますか?

  • 生ワクチン:生きたままの病原体の毒素を弱めたワクチン
  • 不活化ワクチン:すでに死滅した病原体の毒素を弱めたワクチン
  • ペプチドワクチン:死滅した微生物の毒素を無毒化したワクチン

などがあります。
小さなお子さんがいるお母さんの方はとてもよくお分かりになるとおもいます。ポリオやBCGは生ワクチン、日本脳炎や子宮頸がんワクチンは不活化ワクチン。今回の新型コロナウィルスのワクチンはmRNAワクチンで初めてのタイプです。

これは人工的につくった遺伝物質を利用したワクチンです。抗原も抗体も自分の体の中で作るのがmRNAワクチンの特徴です。mRNAは数日で分解され体内から消える。また、mRNAはDNAに組み込まれることはないとされています。それでも人類史上初の新しいタイプのワクチンです。時の経過をいう試練は受けていません。これから健康被害や後遺障害などの報告がある可能性もリスクとして含まれています。

どうやってベネフィットとリスクを考えればいいの??

「ベネフィットとリスクを考えてください」そういう言葉をよく聞きます。また、「感染を広めないためにワクチンを受けてください」ともアナウンスされています。また、周囲には接種についてどう考えるべきかとよく相談をうけます。

以下は厚生労働省と首相官邸が出している新型コロナワクチンについて皆さまに知ってほしいことです。
https://www.kantei.go.jp/jp/content/210526vaccine.pdf

  • 高い効果・・・この高いとは何でしょうか。
    読んでみると95%の有効率と発症を防ぐ効果が認められているとあります。
  • 医療機関の負担を減らすための重要な手段
    重症者や死亡者を減らし、医療機関の負担を減らすことが期待されていますとあります。

では、それぞれのワクチンの特徴を含む有効率やアナフィラキシーショックなども見てみましょう。

国内で承認された新型コロナウイルスワクチン

これまで国内ではアメリカのファイザー製ワクチンのみが承認されていましたが、5/21モデルナとアストラゼネカの新型コロナワクチンが承認されています。
そしてそれぞれのワクチンについて以下の表にまとめてみました。

米ファイザー 米モデルナ 英アストラゼネカ
タイプ mRNA mRNA ウイルスベクター
有効率 94.60% 94.10% 76%
接種間隔 3週間 4週間 4~12週間
アナフィラキシーショック
(100万回あたり)
4.7~11.1回 2~2.5回 4~10.9回
血栓症

ただし、海外ではこれ以外のワクチンも10種類ちかく存在しています。
100人あたりのワクチン接種完了人数が多いアメリカでは6社を採用しています。ちなみにアメリカの世界順位は3位、1位はイスラエル、2位はチリとなっています。

新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡として報告された事例

あとは死亡者数です。厚生労働省は26日に開いた専門家部会で、今月21日までにファイザーのワクチンの接種を受けた601万6200人余りのうち25歳から102歳の男女85人の死亡を確認しています。
因果関係の検証はこれから進むと思われますが、解明に至れるかどうかは難しい症例もあると思います。
厚生労働省がきちんと新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡として報告された事例についてまとめています。https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000784439.pdf

国内における副反応

わたしたち医療従事者は2回目の接種が終わっている人も多いです。ナース達も例外なく副反応を体験しています。
最も多いのが接種部位の発赤や腫れ、そして発熱です。特に2回目に副反応がきついようです。
残念ながら個人におこる副反応の予測はできません。そして副反応の現れ方は人によって異なります。
ですが、新型コロナウイルスワクチン接種を控えているみなさんはとても不安だとおもいます。
以下は副反応に備えて誰にでも出来る対策を助言しておきます。

  • ワクチン接種前、接種後は十分に体を休息させる
  • 接種前、接種後、いつもと違う体調を自覚すればすぐに医師や最寄りの保険所に相談する
  • 訪問看護、主治医がいるような場合には接種後に連絡がとれる体制をお願いしておく
  • 一人暮らしの方は熱発に備えて体温計、水分、解熱剤、冷却できる氷枕、冷却ジェルシートを用意しておく
  • 38.5度前後の発熱をした場合、両脇、太ももの付け根を保冷剤で冷やす
  • 基礎疾患がある、抗生剤などのアレルギーがある方は、速やかで適切な措置が受けられるように、お薬手帳を枕元など目立つところにおいておきましょう

高齢者や子供に冷却ジェルシートを使用する際には、額のシートがずれるなどして口元をふさがないように定期的な観察をしてくださいまた熱がある状態で食事摂取を促す場合には喉を詰まらせないように、また誤嚥させないようにしてください。

執筆者

圓井 順子

圓井 順子 株式会社BodyVoice 代表取締役 /看護師

地元の短大を卒業後、就職するも幼少期からの夢を諦めきれず、25歳で看護専門学校に入学。看護師として医療機関での経験を積み、現在は複数の医療系の会社を経営。株式会社BodyVoiceでは医師と看護師による、サプリメントを中心としたヘルスケアアプローチを進めている。
また、予防医学やがんの啓蒙活動に従事するため、NPO法人ピンクリボンうつのみやの理事も務める。