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生理痛やPMS治療の選択肢の一つとしてのピルとは

生理痛やPMS治療の選択肢の一つとしてのピルとは

生理痛がつらい人やPMSで困っている人が婦人科を受診した場合に、治療の選択肢の一つとして提案されるのがピルです。

ピルとは

ピルは1960年代アメリカで、経口避妊薬として開発された薬でした。
ピルとは女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の合剤でできています。

世界では、オランダでは実に2人に1人が服用。次いでカナダ・フランスとなっている。日本は2.9パーセントしかありません。

海外では受け入れられていて日本国内や中国、韓国などでは内服率が目立って低いようです。

ホルモンの変化と女性の体調の関係

ピルは、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の合剤で出来ていると簡単に説明をしましたが、このそれぞれのホルモンの波の変化が女性の体調に影響を与えています。

黄体ホルモンが上昇していくと体温は高温期を迎えます。これが黄体期です。黄体期より前にくるのが排卵期なのです。


引用元:なでしこ女性診療所「ピルの基礎知識

どんなに難しいホルモンの仕組みといえどもイラストだと一目瞭然です。常にホルモンの乱高下にさらされていることが分かります。また、体温も低温期から高温期には1~2日で急激に上がり、その差は0.3~0.5度の変化で37度近くまで上昇が起こりますのでなんとなくでも調子を崩してしまうのは当然なのかな・・・ということがお分かりでしょうか。

しかし、ピルを内服すると卵胞ホルモンや黄体ホルモンの波がなだらかになります。ホルモンにさらされずにすみます。内服のメリットとしては、生理痛や、月経前症候群(PMS)の改善が見込めます。また飲み忘れさえなければ99%の避妊効果があります。

さらにはスポーツ選手や旅行が控えている人などは生理日が大切な日と重ならないようにもできます。また、ニキビや肌荒れの改善、子宮内膜症の治療にも使われます。

しかし、以下のような方にはピルの使用ができません。
・35歳以上で1日15本以上の喫煙者
・前兆を伴う片頭痛のある方
・中等度以上の高血圧のある方
・静脈血栓症、肺塞栓症、冠動脈疾患及び既往歴のある方
・コントロールのつかない糖尿病の方
・乳がんの方
・重篤な肝障害、肝臓がん、肝腫瘍(良性、悪性)の方

低用量ピルは、一般的には、1シートに28錠あり、そのうちの21錠が実際のピルで、残りの7錠はプラセボといいってピルの成分の入っていない錠剤になっています。飲み忘れの習慣なく、プラセボのいわば休薬期間を間違えることなく飲めるための工夫がされています。

わたしもピルを内服していました。私の場合には生理痛はまったくなかったのですがPMS症状がつらかったためです。内服をすることでかなり緩和はされましたが、空腹になると気分が悪く感じて胃がむかむかしていました。

これはピルを飲んでいることで脳が妊娠をしている状態だと錯覚しているためです。ですのでピルの副作用には、吐き気やむかつき、不正出血、頭痛、血栓が起きるなどの症状があります。

月経随伴症状によるの社会的負担は 6,828 億円

PMSや生理痛などによる症状は個別性が高いです。女性特有の疾患ですので、周囲から病気ではないという誤った認識もあります。しかし、明らかにこれらの病気で日常生活に支障が出ている女性も多くいます。

経済産業省が 2019 年に発表した調査では、月経随伴症状(腹痛、腰痛、眠気、イライラ、便秘など)による1年間の社会的負担は、6,828 億円。その中で労働損失(欠勤、生産性の低下)は、4,911 億円に及ぶとしています。

我慢をしないと過ごせないような生理痛やPMSなどは何らかの病気が潜んでいる可能性もありますので、無理をせず婦人科医師に相談してみてください。ピルは中止すればすぐに元の状態に戻ります。ピルを飲んだ人は妊娠しづらいなどの話はまったくのデタラメです。女性特有の辛さになやまされずに上手にピルを活用ください。

執筆者

圓井 順子

圓井 順子 株式会社BodyVoice 代表取締役 /看護師

地元の短大を卒業後、就職するも幼少期からの夢を諦めきれず、25歳で看護専門学校に入学。看護師として医療機関での経験を積み、現在は複数の医療系の会社を経営。株式会社BodyVoiceでは医師と看護師による、サプリメントを中心としたヘルスケアアプローチを進めている。
また、予防医学やがんの啓蒙活動に従事するため、NPO法人ピンクリボンうつのみやの理事も務める。