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ECS(エンドカンナビノイドシステム)ってなに?CBD(カンナビジオール)との関わりとは

ECS(エンドカンナビノイドシステム)ってなに?CBD(カンナビジオール)との関わりとは

ECS(エンドカンナビノイドシステム)は人間の体内に元々備わっている生化学的な信号伝達システムで、心身のあらゆるバランスを調整する働きがあります。
ECSが適切に働くことが恒常性の維持や病気の治療に重要とされていますが、色々な要因によって、その機能が低下するケースがあります。そして、この機能低下を改善するとされる化合物が、今回のテーマの1つであるCBD(カンナビジオール)です。
ただ、そもそもECSやCBDについて良く分からないという人はたくさんいらっしゃいますよね。そこで今回は、医師の立場からCBDの情報を発信する正高佑志先生の著書やYouTubeチャンネル「Japan Green Zone」などで学んだ情報をもとに、ECSの概要およびCBDとの関連性について解説します。
CBDを通じた健康管理に関心がある方はぜひご確認ください。

ECS(エンドカンナビノイドシステム)とは

ECS(エンドカンナビノイドシステム)の定義ついて、冒頭で「体内の信号伝達システム」だと述べましたがもう少し詳しく説明してみましょう。
まず、カンナビノイドとは「大麻特有の化学物質」ということを理解してください。そして、ECSとは「エンドカンナビノイド」、「エンドカンナビノイド受容体」、「エンドカンナビノイド分解酵素」の3つを合わせた呼び名で、これら3要素が協調して体内の様々なバランスを整えています。
まずはそれぞれの要素を順に解説します。

ECSを構成する3要素の概要

  1. エンドカンナビノイド
    私たちの「体内で分泌されている」大麻の成分に似た化学物質群のことです。アナンダミドや2-AGを筆頭に、何十種類もの化学物質が含まれます。
  2. エンドカンナビノイド受容体
    カンナビノイドが作用する受容体で、CB1、CB2があります。当初は植物性カンナビノイド(大麻の成分)に反応する受容体として発見されましたが、後に「体内大麻成分」であるエンドカンナビノイドの発見に繋がりました。
  3. エンドカンナビノイド分解酵素
    エンドカンナビノイドを体内で分解する酵素です。FAAHやMAGLが発見されています。

以上の3つの要素が正常に働くことで、体温、血圧および脳への血流、免疫、空腹感のコントロールといったあらゆる生理機能が自動調節されるのです。
では、反対にエンドカンナビノイドが欠乏するなどしてECSが機能不全に陥った場合、身体には何が起きるでしょうか。これについて大麻研究の世界的権威であるDr.イーサン・ルッソ氏は「エンドカンナビノイド欠乏によって体調を崩す可能性がある」という仮説を立てています。

現時点では、特定の疾患とECS機能低下との関連について明確なエビデンスはないようですが、少なくとも関連が強く疑われている疾患があります。
そのうち、代表的なのは偏頭痛、過敏性腸症候群、線維筋痛症の3つです。関連を裏付けるように、偏頭痛の患者の髄液ではエンドカンナビノイドの量が少ないことが明らかになっています。
また、偏頭痛の患者は消化器の不調や全身の痛みを合併することが多いという研究報告があります。そのため、これらの背後には「エンドカンナビノイド欠乏」という共通の原因があるのではないかと考えられているようです。

以上のようにECSは心身の健康に密接に関与していますが、加齢や先天的な事情等でエンドカンナビノイドが不足し、苦しんでいる人がいると推測されています。そして、この問題を解決すべく注目されているのがCBDなのです。

ECSとCBD

CBDは大麻などの天然植物に含まれる植物性カンナビノイドの1つで、ECSをサポートする機能があるとされています。体内で不足している化学物質を体外から摂取して補うイメージです。ECSの不調は以下のような様々な疾患を引き起こすとされ、CBDはシステムの乱れを調節し、活性化させると考えられています。

ECSの機能低下と関連が疑われる疾患の例

  • 偏頭痛
  • 過敏性腸症候群
  • 線維筋痛症
  • 拒食症
  • パーキンソン病
  • 自閉症
  • PTSD
  • 統合失調症
  • うつ病
  • 子宮内膜症

具体的なCBDの作用機序に関しては、現時点で詳細には分かっていません。
ただし、重要な経路として「エンドカンナビノイド分解酵素の働きを阻害する」ものがあるとされています。分解酵素が抑制されるということは、体内にエンドカンナビノイドが長く留まる(量が増える)ことに繋がるので、結果としてECSのバランスが整うという理屈です。
この流れは専門用語で「エンドカンナビノイド・トーンが改善される」と表現されます。

最後に、ここまで説明した仮説やECS、CBDに関する情報をまとめましょう。
まずルッソ氏の仮説では、加齢、ストレス、環境、遺伝的要因などでエンドカンナビノイドの欠乏状態(ECSの不調)になり、体調を崩している人がいると推測されています。これを解決すべくCBDとの関係が研究されており、詳しいメカニズムこそ解明されていないものの、CBDの摂取がECSを改善するカギになると考えられています。
そしてECSは先述したような数々の疾患群と関与すると疑われています。したがって、これが改善されることで結果的に身体が本来のバランスに戻り、症状が緩和するとされているようです。

人体の調節機能であるECSをCBDでサポート

今回はECSの概要とCBDとの関係性について紹介しました。ECSがいかに多様な働きを持ち、一方でその不調が大きなリスクとなりえるのか、ご理解いただけたかと思います。ある意味CBDが注目を浴びるのも当然かもしれません。
特にアメリカではその熱量が高く、既に医薬品だけでなく、健康食品としてのCBDが大ブームとなっており、コーヒーやポップコーン、エナジードリンクの中にCBDを入れた商品が販売されているそうです。CBDに関して更に知りたい方は、メディカルリサーチシンクタンクの他記事もご覧ください。