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すぐに眠れない、熟睡できない人に知ってほしい 快眠への条件とは?

すぐに眠れない、熟睡できない人に知ってほしい 快眠への条件とは?

規則正しい生活

よい睡眠には規則正しい生活習慣が大切です。とよく言いますが、どんな理由があるのでしょうか。もちろん規則正しい生活によって朝、早く起き、適度な運動をし、3食バランスの取れた食事心掛けることが体によいのは分かります。そしてそのリズムが快眠に繋がるのも理解いただけるでしょう。

しかしここでは、もう少し踏み込んだ説明をしていきます。規則正しい生活は、体内時計を整えることに役立ちます。そして、体内時計を調節することの一つとして重要な要素に「日光浴」があります。

人類は時計の無い時代に日時計を活用していました。つまり太陽を基軸にしていたわけです。古来から人は太陽をとても崇めていました。日本では天照大神が、海外では太陽神の代表格のローマ神話のアポロンやギリシャ神話のヘーリオスなどの神話があるほどです。現代であっても私たちに太陽は欠かせない存在です。太陽に当たるということは体内のビタミンDの合成を助け、骨を強くしてくれます。ウィルスなどの殺菌作用もあります。さらには、体内時計をリセットすることができます。

朝陽が差し込むような部屋で、自然に目が覚めた経験はないでしょうか?
朝早く起きた日は夜になると自然な眠気に襲われたことはないでしょうか?
日中、太陽の下で運動をした日にとても深い眠りにおちたことはないでしょうか?

規則正しい生活に取り入れたい習慣

運動

国内外の疫学研究(数千人を対象とした質問紙調査)において、運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。とくに睡眠の維持に習慣的な運動の効果があるようです。運動の内容も睡眠に影響します。1回の運動だけでは効果が弱く、習慣的に続けることが重要です。その効果として、寝付きがよくなるのと深い睡眠が得られるようになります。特に高齢者など普段から不眠がちな人に効果が大きいようです。激しい運動は逆に睡眠を妨げますので、負担が少なく長続きするような有酸素運動(早足の散歩や軽いランニングなど)が良いでしょう。

運動のタイミングに注意を払えば、さらによい睡眠が確保できるでしょう。効果的なのは夕方から夜(就寝の3時間くらい前)の運動だと言われています。就寝の数時間前に運動によって脳の温度を一過性に上げてやることがポイントです。そうすると床に入る時の脳温の低下量が運動をしないときに比べて大きくなります。睡眠は脳の温度が低下するときに出現しやすくなるので、結果として快眠が得られやすくなる訳です。ただし就寝直前の運動は体を興奮させてしまうので禁物です。

入浴・半身浴

入浴の睡眠への効果は加温効果にあります。これは運動の場合と同じで就寝前に体温を一時的に上げてあげることがポイントです。

当然ながらタイミングも重要になります。午前あるいは午後の早い時間の入浴は効果がなく、夕方あるいは夜の入浴が効果的です。就寝直前は、逆に寝付きを悪くしてしまう心配があります。寝付きを優先させるには、就寝の2~3時間前の入浴が理想です。

深い睡眠を得るには熱めの湯温で体温を2度ほど上げると効果が大きいという報告がありますが、身体への負担が大きくなるのであまり勧められません。体温の上昇が0.5度くらいでも、寝付きへの効果は認められています(38度のぬるめのお湯で25-30分、42度の熱めのお湯なら5分程度)。

また半身浴(腹部までを湯船につけ、約40度のお湯で30分ほど汗をかく程度に入浴する)でも寝付きの効果が認められています。

さらに入浴でリラクゼーションしたい方は入浴剤の使用もよいでしょう。血流や保温効果も高まります。自分の体調や好みにあった入浴を選択してみてください。

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食事

朝食は簡単なものでもよいので、脳のエネルギー源として糖分を補給することが望ましいでしょう。脳が働くことで目が覚めやすくなります。また、エネルギー不足では、日中の活動が低下すれば、夜の睡眠に影響しかねません。就寝に近い時間の夕食や夜食は、消化活動が睡眠を妨げてしまうので出来るだけ控えてください。
あるマウスを使った最近の研究では、普段眠っている時間に食事を一週間とりつづけると、食事の時間にあわせて大脳皮質や肝臓の末梢時計がずれてしまうことが分かっています。

睡眠中に起こっていること

快眠は規則正しい睡眠習慣から生まれるということをご理解いただけたでしょうか。どんなに健康的に運動をしても、バランスの良い食事を心がけても、寝付く時刻が毎日ばらばらでは快眠・良眠には至りません。

以下のグラフをご覧ください。
ノンレム睡眠と言われる深い睡眠に早い段階(約90分程度)で突入すると、成長ホルモンが分泌されます。さらにレム睡眠とノンレム睡眠がリズムよく交互に訪れること、つまりメジャースリープの状態をしっかり維持した睡眠を確保することで最大限に成長ホルモンの恩恵を受けることができます。この結果が良質な睡眠といえるのです。

ちなみに睡眠にゴールデンタイムという時間帯があり、午後10時から午前2時のあいだとされています。しかし、この説に対して、1970年代からこの時間帯と成長ホルモンは関係性がないという論文もでています。
いずれにしても、肌や筋肉、そして骨によい影響を与えてくれるのが成長ホルモンです。規則正しい生活が良質な睡眠へ繋がり、美肌や健康的な体の土台作りになります。

睡眠リズムと成長ホルモン分泌の関係性
引用元:SUNSTAR「睡眠のゴールデンタイムとは?成長ホルモン分泌のための睡眠方法
出典:NATIONAL GEOGRAPHIC「健やかな睡眠のカギを握る「メジャースリープ」とは

眠りを妨げるもの

とにかく禁物なのは夜の光です。夜の光は体内時計を遅らせる力があり、夜が更けるほどその力は強くなります。家庭の照明でも(照度100~200ルクス)を長時間浴びると体内時計が遅れます。また日本でよく用いられている白っぽい昼白色の蛍光灯は体内時計を遅らせる作用があるため、暖色系の蛍光灯が理想と言えます。

睡眠相後退症候群と呼ばれる病気があります。いつも明け方まで眠ることができず、お昼にならないと起きられない病気です。この病気になると朝の光を効率よく浴びることができず、夜の光を沢山浴びてしまいます。治療の一つに高照度光療法といって明るい蛍光灯の光を朝に数時間浴びて、生体リズムを前に戻す方法があります。

コーヒー・緑茶・チョコレートなどカフェインが含まれる飲食物は覚醒作用があることで知られています。敏感な人は就寝の5~6時間前から控えた方よいでしょう。就寝前の喫煙もニコチンが刺激剤として作用するので好ましくありません。睡眠薬替わりに飲用されることの多いアルコールも決して勧められません。アルコールは寝付きをよくしますが、明け方の睡眠を妨げるからです。

昼寝は午後の眠気を解消し活力を与えてくれます。15分程度の長さで十分です。高齢者では30分程度の昼寝を上手に利用することで、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになることもあります。

最後に生活習慣病が不眠の原因になることが分かっています。生活習慣病を防ぐためにも快眠を得るためにも、良い生活習慣を身につけましょう。