難治性てんかんにCBDが著効!CBDとてんかんの関係性について紹介します
【CBDと病気・症状シリーズ パート1】
CBD(カンナビジオール)は、日本では主に美容品や健康食品として流通しています。一方、海外では医薬品や医療目的としての研究が活発に行われており、医学的な有用性も確立しつつあります。
CBDは数多くの病気や症状に有効とされています。そのなかでも特に「よく効く症状」と期待されているのが、けいれんなどを伴う「てんかん」です。
今回は、日本で初めてCBDとてんかんの症例報告を論文にまとめ、海外の学術雑誌に掲載された医師の正高佑志氏の著書などを元に、CBDとてんかんの関係性について紹介します。
難治性てんかんとは
てんかんとは脳内の神経細胞の過剰な電気的興奮が起こることで、意識障害やけいれんなどを発作的に起こす脳の病気です。脳のさまざまな場所に過剰興奮が起こるため、その場所に応じて症状も多岐にわたります。日本には約100万人もの患者がいるとされています。
そのうち、抗てんかん薬を服用しても発作を抑制できずに慢性化してしまう、いわゆる「難治性てんかん」は全体の約3割が該当するとされています。
難治性てんかんの種類は、大きく部分てんかんと全般てんかんに分かれます。
抗てんかん薬で症状の抑制が難しい場合、手術治療を行うこともありますが、合併症の懸念や全ての発作を抑えることは困難な場合があります。
てんかんの種類によって「ドラベ症候群」、「レノックス・ガストー症候群」など区分され国の指定難病の対象になっているものもあります。
難治性てんかんは完治が困難な病型も多く、例えばドラベ症候群の場合、けいれん発作は6歳を過ぎると改善傾向を示すことがあるものの、成人しても発作が完全になくなることは稀とされています。
※出典:公益財団法人難病医学研究財団「ドラベ症候群(指定難病140)」
CBDと難治性てんかん
てんかんの病型はとても複雑です。てんかんの種類、発作の様相や頻度、出現のタイミングなど、個人差が大きく、精密な検査を行いながら治療を進める必要があります。
てんかんの治療法としては、抗てんかん薬を服用する「薬物療法」が一般的です。また、薬物療法で発作が抑制できない難治性てんかんに対しては、外科手術によって発作消失を目指す「根治手術」および発作を軽減する「緩和手術」のほか、食事療法などを施すことになります。
しかし、抗てんかん薬には、眠気やふらつき、めまいなどさまざまな副作用があります。最近は副作用の少ない薬も開発されていますが、難治性てんかんの治療において患者のQOL(クオリティオブライフ)を向上させるためには、てんかん発作の頻度や症状と抗てんかん薬による副作用のバランスを考慮することが重要になります。そのため、薬物療法では、抗てんかん薬の血中濃度も計測しながらコントロールを行っていきます。
このような難治性てんかんをコントロールできる可能性があると考えられており、症状が改善した例もあるのが大麻成分「CBD(カンナビジオール)」です。
CBDがてんかんに有効とされる報告は1980年に行われています。その後、しばらくは流通や規制が原因で研究が進んでいませんでした。しかし、2000年代のアメリカ合衆国の一部の州の医療大麻の合法化と、前述した難治性てんかん「ドラべ症候群」を患っていた少女が、CDBオイルの摂取によってけいれん発作が大幅に減少したことを受けて研究が活発化。これらの研究の結果、2018年には製薬会社が作った「エピディオレックス」というCBD製剤がドラべ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症に伴う難治性てんかんに対する医薬品として承認を得ています。
また、国内でも流通しているサプリメントと同じ規格のCBDを服用したてんかん患者のアンケート調査によると、43人のうち81%の人がけいれん発作の減少を認めた結果もあります。そのなかでも7人は完全に発作が消失しました。カンナビノイドの代表的な成分であるTHCが含まれるCBD製剤は、日本では入手できないものの、現在流通している国内のCBDオイルなどでも一定の効果は期待できるでしょう。
また、天然成分であるCBDであれば、抗てんかん薬のような副作用の心配は少ないという意味でも、てんかんに対するCBDの研究が進むことが期待されています。
※出典:公益財団法人日本てんかん協会「診断と治療」
CBDと抗てんかん作用
CBDが難治性てんかんに有効なメカニズムは明らかになっていませんが、CBDだけでなく他の大麻成分(カンナビノイド)の有益な作用の組み合わせによって「抗てんかん作用」が生まれると考えられています。
CBDそのものはもちろん複数の有益な作用が組み合わさることで、「NMDA受容体のブロック」や「GABA受容体の亢進」、「イオンチャンネルの安定」といった他の抗てんかん薬の役割を果たしているとされているのです。
日本における症例報告
CBDとてんかんの研究は主に海外で行われていますが、最近では日本でも「難治性てんかんにCBDが著効(著しい効果)した例」が報告されています。論文を作成したのは、脳神経内科医の正高佑志氏です。
患者は、生まれたときから難治性てんかんの発作が起こり、半年間かけて12種類の抗てんかん薬を服用しても効果がなかった生後6カ月の乳児でした。
両親からの相談を受けた正高医師による指導のもと、患者にCBDを摂取させたところ、多いときには1日50回も発生していたけいれん発作が、ほぼゼロになったのです。
同論文は日本初の症例報告であると同時に、世界で最年少の患者の学術報告、さらに日本で主に流通している「大麻草の茎から抽出したCBDを使ったサプリメント」の効果を学術的に示しました。
正高医師はCBDチャリティバンクを設立し、追跡調査などを実施しています。今後、さらに日本におけるCBDとてんかんの研究が活発化することが期待されるでしょう。
※論文:Epilepsy & Behavior Reports「Report of a 6-month-old Asian infant with early infantile epileptic encephalopathy whose seizures were eliminated by cannabidiol」
てんかんとCBDの正しい情報を入手しよう
CBDがてんかんに有効とされる理由と、海外、日本の症例報告などについてまとめました。日本で流通しているCBDのサプリメントでも難治性てんかんに効果が期待できることが明らかになりつつありますが、発作を抑えるための摂取方法などについては、信頼できる情報にもとづいて慎重に行う必要があるでしょう。
日頃から意識して情報を収集するとともに、必要があれば頼れる専門家を探しておくことをおすすめします。
※参照:著 正高佑志「お医者さんがする大麻とCBDの話」
※参照:YouTubeチャンネル「Japan Green Zone」