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【医療者と学ぶ】CBD(カンナビジオール)はハイになる?作用に関わる3つの誤解とは

【医療者と学ぶ】CBD(カンナビジオール)はハイになる?作用に関わる3つの誤解とは

現在、世界中でCBDの健康効果が研究されており、その有効性が報告されています。その一方で「大麻草が原料ならハイになってしまう」、「日本での使用は違法で逮捕される」といった様々な誤解が生じています。
これらの誤解のうち、法律(大麻取締法)に関しては既に別記事で触れましたが、その「作用」についても情報が錯綜しているのが現状です。
そこで今回は、医療大麻やCBDの専門家である正高佑志医師のYouTubeチャンネル「Japan Green Zone」や著書などから学んだ情報を土台として、CBDの摂取により起こる「作用」の誤解について解説します。体調の変化が気になる方はもちろん、単純にCBDの正確な情報が知りたい方はぜひ参考にしてください。

誤解1:CBDを摂取すると「ハイ」になる

CBDは大麻に含まれる化合物の1つですが、結論、摂取することで「精神活性(ハイ)」にはなることはありません。「ハイ」をもたらす成分はカンナビノイド(大麻独自の化合物)のうち、THCという化合物が原因なので、全く別の化合物であるCBD単体の摂取では「ハイ」は生じないのです。

ただ、注意が必要なのは摂取方法によってはCBD単体でも「独特の精神作用」をもたらす可能性が示唆されているということです。これはTHC由来のいわゆる「ハイ」状態とは異なりますが、摂取した人の気分を変化させる可能性があります。
これらを裏付けるエビデンスとして、ジョンズホプキンス大学の行動薬理学教室の研究があります。本研究では、健康な男女18名を対象にCBDオイルの経口摂取とVape(肺からの吸入)での作用を比較しました。
その結果、CBDオイルの経口摂取では主観的な精神作用に変化がなかった一方で、Vapeでは「楽しい」、「好ましい」と感じる被験者が確認されました。
このことから、少なくともオイル製品の経口摂取ではハイになる効果はありませんが、Vapeの場合は一定の精神作用(ハイとは異なる)をもたらす可能性があるということが言えるでしょう。

■結論

CBDでは一般的に称される「ハイ」な状態にはなりません。ただし、それとは異なる精神作用をもたらす可能性があります。

誤解2:CBDには鎮静作用がある

CBDの代表的な作用として「鎮静作用」が挙げられますが、実は摂取する用量によっては効果が得られないケースがあることも誤解されることが多いポイントの1つです。高用量のCBDでは眠気を誘う効果もあるとされている一方、中程度の用量であれば穏やかな「覚醒作用」とされているのです。
なぜCBDには「覚醒」と「鎮静」という相反する作用が混在するのでしょうか。その大きな要因は大麻草が持つ「二相性効果」によるものとされています。
要するに、CBDを含むカンナビノイドは摂取した用量によって、反対の作用が生じる場合があるのです。この傾向は動物実験でも明らかになっており、カンナビノイドの血中濃度と効果は釣り鐘型の曲線になると報告されています。

■結論

CBDによる鎮静作用の有無は用量に依存します。

誤解3:CBDには副作用がない

CBDオイル製品等の食品に関しては薬剤のような副作用はありません。

ただし、食品であっても食べ過ぎるとお腹を壊したり、眠れなくなったり、食品と薬の飲み合わせが悪かったりしますよね。CBDオイルの場合も眠気や口渇などを感じる方がいると言われています。

一方で、薬剤として出回っているCBDについて

しばしば「CBDが安全である=副作用がない」と誤解してしまう人もいますが、薬としても使われるCBDには風邪薬や頭痛薬などと同様、副作用は「存在します」。事実、アメリカではCBD製剤であるエピディオレックスが流通しており、その添付文書には消化器症状、倦怠感、傾眠、貧血などの副作用が記載されています。また、眠気を感じるケースもあるので、摂取後の車の運転には十分注意する必要があるでしょう。

さらに、他の薬との飲み合わせによっては、身体に悪影響を及ぼす可能性もあります(薬物相互作用)。例えば血液をサラサラにするワルファリンとCBDと併用することで、その効果が増強されてしまい、出血事故を起こす出血傾向(出血しやすい、血が止まりにくい)を引き起こす可能性があります。
そのメカニズムとしては、摂取したCBDを肝臓で分解する際、同じく肝臓で処理される他の薬の分解処理が遅れてしまい、その薬の血中濃度が高くなってしまうのです。
同様に抗がん剤との併用でも、抗がん剤が効きすぎてしまうことが懸念されています。

他にもアメリカの治療現場の事例として、妊娠中や授乳中の患者等など特定の身体状況にある人達に対しては、医療大麻の治療家たちの判断で、大麻製品(CBDだけでなくTHCも含む)の使用を控えるように指示することもあるようです。

いずれにしても「CBD製剤には副作用がない」というのは大きな誤解であり、使用に際してはあらかじめ副作用や相互作用を把握する必要があります。ただし、CBD摂取に関する大規模研究の結果によると、これまで命に関わる重篤な副作用は報告されていません。

■結論

CBD製剤には市販薬と同じように副作用があるので「相互作用」などを確認する必要があります。ただし、命に関わる重篤な副作用は報告されていません。

CBDの誤解を解いて正しい作用を知ろう

今回はCBDオイル等(食品)、CBD製剤の作用にまつわる誤解について紹介しました。効果や安全性、副作用等に関する誤解を払拭していただけたでしょうか。CBD製剤は一般的な薬と同じで副作用がありますが、重大なものはなく、ポジティブな結果が期待できる化合物だと考えられています。
また、精神に良い影響を与えることはあっても、THCのようにハイになることはないとされています。メディカルリサーチシンクタンクでは、CBDや健康情報などを取り扱っています。健康管理について正確な情報を知りたい方は、ぜひ他記事もご覧ください。

※参照:著 正高佑志「お医者さんがする大麻とCBDの話」
※参照:YouTubeチャンネル「Japan Green Zone