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こころの不調にこそ!? CBDの可能性(統合失調症と不安障害)

こころの不調にこそ!? CBDの可能性(統合失調症と不安障害)

【CBDと病気・症状シリーズ パート3】

日本国内では、健康食品やサプリメントとして流通しているCBD(カンナビジオール)は、海外を中心に医薬品として用いられることも少なくありません。その効果についてはまだ研究段階ではあるものの、様々な体の不調を改善する効果があると期待されています。
その代表的な病気の1つが統合失調症や不安障害といった精神疾患です。そこで今回はそれぞれの特徴とCBDとの関わりについて、CBDの専門家である正高佑志医師の著書とYouTubeチャンネルなどを元に事実ベースでまとめました。

統合失調症とは

統合失調症とは、脳が様々な思考をまとめることが難しくなり「妄想」や「幻覚」といった症状が現れる病気です。

妄想は明らかに間違っている内容を信じ込んでしまう症状です。例えば、誰かに嫌がらせを受けている「被害妄想」のほか、テレビやインターネットで自身の情報が流出してしまっているという「関係妄想」を抱くことが挙げられます。
幻覚は知覚の異常により、自身の悪口や噂話が聞こえてくる「幻聴」などの症状が代表的です。その結果、独り言が多くなるほか、周囲に被害を訴えてトラブルが増えたり、行動意欲が低下するなど人間関係などに悪影響を及ぼす可能性が高まってしまいます。

統合失調症が発症する原因は不明で、日本の患者数は80万人とされています。治療は抗精神病薬などを服用する「薬物療法」とリハビリテーションによる「心理社会療法」を組み合わせて行うことが一般的です。
抗精神病薬はドーパミンの受容体を占拠し、次の神経細胞への情報伝達を遮断することで症状を抑えられると考えられていますが、実はその作用機序は明確にはなっていません。

※出典:厚生労働省「統合失調症

CBDは、統合失調症の原因「脳内の科学物質の乱れ」を整える作用が期待される「内因性カンナビノイド」

統合失調症患者の原因の1つと考えられているのが、脳内の化学物質の乱れです。その化学物質の乱れを整えるために「エンドカンナビノイドシステム」という体内の信号伝達システムが活性化し、その結果、統合失調症患者の髄液中の内因性カンナビノイドの量が増加している傾向があることが明らかになっています。

このことから、内因性カンナビノイドが増えることで統合失調症の症状の抑制につながると考えられており、内因性カンナビノイドを活性化させる作用があるCBDに注目が集まっているのです。

ドイツのケルン大学が行なった、CBDの特徴に着目した統合失調症治療の臨床試験

実際、CBDの特徴に着目した統合失調症治療の臨床試験がドイツのケルン大学で行われています。この治験では39人の統合失調症患者に800mgのCBDまたは標準治療薬(いわゆる元来用いられている薬剤)のどちらかを投与し、効果の程度を比較しました。

その結果、CBDを投与された患者は標準治療薬を投与された患者と同程度の症状の改善が見られたのです。

また内因性カンナビノイドの一種である「アナンダミド」の血中値も増加しており、その数値が高いほど症状の改善が著しくなるという関係も認められました。

さらにCBDは標準治療薬よりも副作用が少ないという結果も得られており、心身への負担がより少ない統合失調症の治療の実現に期待されています。

不安障害とは

不安は誰もが当たり前のように抱く感情です。ただ、不安が過度に大きくなり日常生活に支障が出てしまう状態は「不安障害」という病気の疑いがあります。
不安障害には、発作的に理由のない不安に襲われる「パニック障害」や人が多い場所や人と話すことが苦痛に感じる「社会不安障害」、仕事・家族・友人など生活の様々なことに対して極度に不安を感じる状態が半年以上続く「全般性不安障害」など様々な種類が存在します。

治療は統合失調症と同様、薬物療法とカウンセリングが中心です。抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを服用しながら、こころと体をリラックスさせて極端な考え方などを見直す認知行動療法などが行われています。

※出典:厚生労働省「不安障害

CBDと不安障害

CBDは不安障害の治療で用いられる薬と併用、もしくは代用できる可能性が示唆されています。その根拠としては、2011年に報告された「社会不安障害」に対する研究が挙げられます。

同研究では極度のあがり症の患者24人と健常者12人を対象に実施。患者にはCBDもしくは偽薬(プラセボ)を摂取させた後、スピーチを行ってもらいました。
その結果、CBDを飲んだ患者は健常者と同じようにスピーチできたという結果が得られているのです。

この治験では社会不安障害のみが対象でしたが、全般性不安障害など他の病気にも有効性が期待されています。

※引用元論文:「Use of Cannabidiol for the Treatment of Anxiety: A Short Synthesis of Pre-Clinical and Clinical Evidence

長期化しやすい心の病気。副作用の少ないCBDを用いた治療が期待される

統合失調症と不安障害という代表的な精神疾患に対するCBDに期待される役割について解説しました。
心の病気は長く付き合っていかなければならないケースが多く、治療においても患者の負担をなるべく軽くすることが求められます。
CBDが精神疾患の治療に用いられている既存の薬の代わりとなれば、より副作用が少ない治療の実現にもつながるでしょう。今後のCBDと心の病気の研究、動向に注目して損はありません。